Sigmaは今アメリカに滞在しているのですが、やはり異国間の文化の違いを日常の様々な部分で感じます。
その中でも「食」は文化の違いが顕著に表れている一例だと思います。
そこで今回は、食文化の中でもアジア圏の人が主に食事に使用する「箸」に焦点を当てて、なぜ箸を使うことが一般化したのか考えてみます:)
「経緯」
まずなぜこの疑問が生まれたのか?ですが、Sigmaは現在アメリカに滞在していて、基本的に食事にはフォークとナイフを使用しています。
ある日、日本文化に関心のあるルームメイトが、インターネットで「箸」を購入し、Sigmaに箸の使い方を教えてほしいと尋ねてきました。
そして久しぶりに箸を使って食事をすることになったのですが、正直言って感動しました。こんなにも便利な道具があるのかと。箸という道具を作った中国がいかに偉大か、思い知らされました、、。ちなみにその時は「パッタイ」というタイ料理を食べている最中でした。
「基本的データの確認」
それではここで一旦、「knife and fork」と「箸」のそれぞれについての基本的なデータを確認してみましょう。
No.1 「knife and fork」
材質:
一般的にはステンレスや銀などの金属(プラスチックや木製も有る)
基本性能:
ナイフ【固体の食材を切断するのに非常に有効】 フォーク【刺す、掬う】
ステーキやパスタなどといった麺類に適している
汎用性:
料理中の基本的な動作を行うにはあまり適さない。
扱いやすさ:
特に難しい操作は必要なく、若干の操作を覚えれば年齢関係なくすぐに使える。
価格:
材質やブランドによって変化する。基本的には数千円のものが一般的だが、中には数万円、数十万円するものもある。
No.2「箸」
材質:
木、竹、プラスチック、金属など、さまざまな材料で作られている。棒状であれば基本的には機能する。
基本性能:
食材をつまむことに特化しており、特に米や麺を食べるのに適している。また作法的にご法度とされているが、刺すことも可能ではある。食材の切断は少し苦手で、掬うことは不可能。
汎用性:
料理中の炒める、混ぜる、返すなど基本的に利用できる。
扱いやすさ:
慣れれば扱いやすいが、使いこなすまでに少なくとも数か月は要する。また手の小さな子供には扱いが困難。
価格:基本的には安価。数百円出せば問題なく利用できるものが入手できる。
以上から基本的には、それぞれの地域の主食や主菜をいただく際に、その食事の形状に適したものが開発され、好んで使われるようになったのではないかと考察されます。
確かに西洋料理で一般的なパスタは箸よりもフォークを使ったほうが、上品にかつ効率的に食事をいただくことができますよね。
「箸で食べる麺とフォークで食べる麺」
ではどうして日本を含んだアジアの地域では麺料理をいただくときにフォークではなく箸を用いるのでしょうか?それはおそらくそれぞれの麺料理が異なった特性を持っているからだと思います。
西洋のパスタは麺に食材をペースト状にしたもの、いわゆる「ソース」を絡めて調理するものが一般的であるのに対して、
アジア圏の麺料理といえば「ラーメン」「パッタイ」「フォー」「海鮮湯麺」など、麺と肉野菜、海鮮などの固形の食材を共に炒めて味付けしたものや、スープの中に麺を入れ、その上に具材を乗せたものなどが一般的です。
ラーメンなどのスープの中に麺が入っている類は、フォークでは麺を一か所に集めて掴み上げるのが非常に困難ですし、焼きそば系の麺料理は割と大きな固形の具材が入っており、フォークでもいただくことはできますが、できれば麺と具材を一緒にいただきたいので、やはり掴む操作に特化している箸に軍配が上がります。
「世界一美味しい中国料理から見た箸の凄さ」
次に世界で一番おいしいとされている中国料理に焦点を当ててみます。中国料理として代表的なものとしては、「酢豚」や「牛肉の牡蠣油炒め」などが挙げられます。
「酢豚」は豚肉を揚げたものと、タケノコ、椎茸、ピーマン、玉葱を油でさっと火を通したものとを、黒酢をメインとしたソースで炒めた料理で、それぞれの具材はおよそ2から3㎝角に切りそろえられています。
「牛肉の牡蠣油炒め」は細切りにした牛肉、タケノコ、ピーマンを油でさっと火を通し、オイスターソースをメインとしたソースで炒めたものです。
これらは両者とも、それぞれの具材が似たようなサイズや形に切り揃えられており、またそれぞれの具材が異なる触感や風味を持っています。そしてこれら具材を一緒に味わったときに初めてその料理が完成すると考えられます。
よって、これは一度に一つの対象物を刺すことに特化したフォークでは、料理としての完全な味わいを感じられないことを意味します。例えばてんぷらなどをフォークで刺してしまったら衣が剥がれ落ちてしまうかもしれませんよね。この点、掴むことに特化した箸では、食材の形状を変化させることなく提供された状態のまま、そして複数の食材を同時に味わうことが出来るのです。
「郷に入っては郷に従え」
まさにその通りだと思います。その地域で発達した文化は、それ相応の理由や歴史に基づいており、それに反しようものなら、その地域の良さを最大限に「味わう」ことはできないようです。
世界各国にはその国ナイズされた異国料理のレストランなどがありますが、小さいころから箸を使うことに慣れている私たち日本人は、ある意味どこへ行っても食を最大限楽しむことができるので、その点恵まれているのかもしれませんね^^