Sigmaの1日

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「SNSと若者の拡散する承認欲求|IT社会の進化とその影響」

今日は当ブログを開設して初めてコンテンツ投稿する日ですので、今回はブログから派生的に進化を遂げたSNSソーシャルネットワークサービス)が、

 

なぜこれまでにユーザーを増やすに至ったか、そして利用によってもたらされる弊害について筆者なりの考察を含めてまじめなトーンで紹介しようと思う。

 

SNSの普及と社会への影響

 近年、ソーシャルネットワークサービス(SNS)の普及が急速に進み、ほぼすべての人が少なくとも1つ以上のSNSアカウントを持つ現代社会になった。

ICT総研の「2022年度SNS利用動向に関する調査」によると、日本のSNS利用者は8,270万人となっており日本国内においては82%の普及率を見せている。

また2024年末にはその普及率が8,388万人に到達する見込みであり、SNSは日本国内において利用することが当たり前のような存在になりつつあることがわかる。

 

そしてここで言及すべき点は、現代社会において広く普及し利用が一般化したSNSが、単なる連絡手段という当初の特性を超えて、現在では自己表現ないしは自己実現の重要なフィールドへと変化を遂げた点である。

 

SNSの進化:自己表現の手段への変遷

これまで主要だったメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)の提供する「Facebook」がサービス開始したのは2003年であったが、それから今日までの20年間でFacebookに買収された「Instagram」、  現在X Corp.によって運営されている「X(旧Twitter)」、ByteDanceの提供する「tiktok」など様々なサービスが登場した。

 

これらのサービスはそれぞれ、Instagramは画像、twitterは文書、tiktokは映像を通じて自己表現を行うことのできるソーシャルネットワークサービスである。

そして上記のSNSの普及は、他社との情報共有やオンライン上のコミュニケーション、そして先述したような自己表現の手段などとして多くのメリットを利用者にもたらしている。しかしその一方で迷惑行為や犯罪行為の発生を助長している可能性があり、社会に対して負の影響を及ぼしているのではないかと懸念している。

 

SNSの多様な進化形態

これらのSNSが登場する先駆けとなったインターネットサービスが、一般の我々に普及し始めたのは90年代半ばであるが、サービスが開始されてからおよそ30年の間にITデバイスは非常に速いスピードで進化を遂げ、日常のおよそすべての瞬間を一つの媒体によって記録し、それらをオンラインプラットフォーム上に投稿することが可能となった。

 

先述したように文書を主に発信するサービスであるTwitterやブログなどのサービスでは思想・良心の自由という観点からして、表現の自由が保障されると考えられるので、誹謗中傷などの他社の尊厳を傷つけるような発言や他人の名誉を棄損するような表現といった他の法律に抵触するような内容が含まれない限り、ある程度の発言の自由は認められているものと考えるのが妥当である。

しかし近年では、Twitterやブログなどといった文字ベースの情報発信よりも、InstagramTiktokといった映像発信系のSNSがより好まれる傾向にあるといえる。これには様々な要因があることが推察されるが、その理由の一つとして映像で他者に自身の情報を発信したほうがより等身大、またはそれをも超える「自分」を表現できるからではないかと私は考えた。

 

文字の羅列によって伝えられる情報よりも、視覚ベースのほうが製作者の意図通りの解釈が読者によってなされることが期待され、文字よりも簡単に受け手に情報を正しく伝えることができる。

 

映像発信系SNSの台頭とその背後にある要因

際立った文才がなくとも自身の存在さえあれば自由な表現が可能になった現代においては、何よりも重要視されるのは周りから見た華やかな、もしくは際立った存在の自身である。

 

このように映像ベースのSNSは人々に外観至上主義的な思想を植え付け、あたかも自然な流れでSNS上で自分の存在を他人に承認してもらうことを一般化した。

このような経緯をもって現在ではインターネット上での一種の自己表現競争が激化し、いかに早くそしていかに効果的に自身の承認欲求を満たすかという問題が利用者を悩ませている。

本記事においてはテーマとして「若者の間で拡散する承認欲求とそれが社会にもたらす弊害」を掲げたが、上記で説明したように現在若者の間では大きく分けて二つ「周りから見た美しく華やかな自分」「周囲から見て際立った存在である自分」を目指してSNS上で自身の承認欲求を満たすための活動を行っているといえるが、これらは結果として人々に対しては健康被害を、社会に対しては犯罪行為を与えることとなった。

 

SNS利用の健康被害:美しさへの追求と心の健康

ではまず初めにSNS上の表現競争が人々に与えた健康被害であるが、これは主に「周りから見た美しく華やかな自分」を承認してもらうために行われた表現活動が原因となっているのではないかと考えられる。

 

英王立公衆衛生協会(RSPH)は、ソーシャルメディアSNS)が若者の心の健康に与える影響について、報告書を発表している。この報告によると

YouTube、インスタグラム、スナップチャット、フェイスブックツイッターを比較した際、インスタグラムが最も悪い影響を与える」ことが分かったという。

この調査はRSPHが14歳から24歳の1479人を対象に、人気の高いSNS5社の影響を調査したもので、それぞれのSNSで経験する不安感や鬱、孤独感、いじめ、自分の外見への劣等感など14項目について質問したものである。

そしてその結果、写真投稿サイトのインスタグラムが若者の心に与える不安感や孤独感、いじめ、外見への劣等感など否定的な影響が、他のSNSよりも強いことが分かったのだ。

美しく華やかな自分を発信する上では、自身を高級ブランドで着飾ったり、画像加工などによってサービス提供会社が定める美しい姿へと画像を修正したりすることが必須である。

 

そして何よりもの問題は、これらの等身大を超えた自身の映像を発信する投稿者によって構成されるSNSにおいては、過剰に装飾された姿が彼ら彼女らにとっての普通の姿となってしまっていることだ。これらの加工行為は、自分が実際に持っている容姿や環境を間接的に否定することを意味し、実際の自分とインターネット上で承認された自分との間に乖離が生まれることとなる。

これにより、上記の調査で示された健康被害が引き起こされたのではないかと私は考えるのだ。

 

SNSと犯罪行為の増加:表現競争の暗い側面

そして次に言及すべきは、SNSが社会に対して犯罪行為の蔓延を与えることとなったという点である。これは主に「周囲から見て際立った存在である自分」を求めてSNS上で表現活動を行ったことが原因ではないかと考えられる。

これらの犯罪行為を含んだSNS上での表現行為は、近年多くメディアで取り沙汰される「迷惑系コンテンツ」と呼ばれるものを指している。ここでいう迷惑系コンテンツとは、何らかの法律や条例に抵触することが考える行動や言動などを撮影または記録したコンテンツのことを意味する。

 

そしてこの迷惑系コンテンツの実例としては、記憶に新しいものでは今年1月に発生したスシロー醤油ペロペロ事件がある。

これは回転寿司の大手チェーン「スシロー」の店舗で、少年がしょうゆ差しをなめる動画をSNS上で拡散し、その影響でスシローの運営会社「フード&ライフカンパニーズ」の株価が時価総額で170億円暴落する大損害を受けることとなった。

 

公的機関や研究機関が発表する統計データをもとにすると、SNSの利用者数の増加とともに、オンライン上での迷惑行為や犯罪行為の報告数も増加傾向にあることがわかった。

これらは主にSNS上の匿名性や大量のユーザーが存在する環境が、人々の抑止感を減少させ、より過激な行動を取る要因となっている可能性が考えられる。実際に多くの犯罪者や迷惑行為を行った人々は、その行動が他者に悪影響を及ぼすことを十分に認識していないケースが散見される。

このようにSNS上で周りから注目を得ることで承認欲求を満たそうとする行為は、結果として違法行為を行うことを若者に惹起させるのだ。

 

若者のSNS行動の心理的要因

ここまででSNSを利用することは人々に健康被害をもたらしたり、犯罪行為を助長したりと人々に負の側面をもたらす可能性があることを理解していただけたと思うが、では一体どうして人々はこのようにSNS上で承認されることに必死になってしまうのだろうか。

そこで私はこの行動の背後にある心理的要因を探ることが、当該問題行為の抜本的な解決策を考えるうえで必要不可欠であるのと考えた。まずなぜ若者がこのような行動に走るのかの原因についての考察であるが、これは承認不安や自己表現の欲求が重要な要因として考えられる。

 

承認不安は、他者からの評価や承認を強く求める心の状態を指す。SNSは「いいね」や「フォロー」といった形で直接的な承認を得ることができるため、この承認を求める気持ちが強い若者にとって魅力的な場である。

しかし、一方で、多くの「いいね」や「シェア」を得るためには、一般的な内容よりも過激な、あるいは挑戦的なコンテンツが注目を集めやすいという現実がある。このため、承認を求める強い欲求が、過激な行動や迷惑行為を生む要因となっている可能性が考えられる。

また、自己表現の欲求もSNSの利用動機として大きな役割を果たしている。若者は成長過程で自身のアイデンティティを確立するために、多くの経験や挑戦が不可欠である。よってSNSはその自己表現の場として非常に適しており、自分の価値観や考えを伝えるツールとして利用されていることがわかる。

 

ITリテラシー向上と社会的な課題への理解

インターネットサービスが普及し始めてから、30年間で急速に発達したこのIT社会において、まず初めになされるべきことは、

利用者のITリテラシーを高めるための施策がなされることであり、現在の社会の安全性を確保する上では急務であるのではないだろうか。

 

これらの課題への対応には、利用者や教育者、保護者、社会全体が協力し、デジタル時代における新しいコミュニケーション形式を正しく理解し、適切に対応することが必要であり、しかしそれと同時に承認欲求の増加とそれに伴う社会的な弊害への理解と対策は、現代社会において避けて通れない課題となっているともいえるのだ。

 

SNSと承認欲求の影響:技術発展と課題の同居

以上の調査や考察から、「若者の間で拡散する承認欲求と社会にもたらされた弊害」についての結論であるが、

インターネットが発展する以前から我々は自己を確立するために表現活動を行っていたが、それはおそらくスポーツや芸術などの活動であった。

しかしSNSという場所を選ばずに、そして特殊な能力や立場なども必要としないという特性を持った、便利なプラットフォームが誕生したことで、人々はそれに飛びつき健康的な成長機会を搾取されることとなったと考察される。

またSNS上での自己表現は他者との比較や競争が激しく、差別化を図るための過激な行動や迷惑行為が生じてしまうのは言ってしまえば自然な流れであるといえる。

 

よって、必要とされるのは利用者のネットリテラシーの向上や、ネット関係の法律知識の習得、そして過去のネット上で起きた事例の周知などではないだろうか。